レンタルDVDショップに足を運んだら「蒲田行進曲」が貸し出し中だった。

誰だ、○○市の「銀ちゃん」ファンて。
わたしと同じこと考えるでしょ!て世の中で今映画「蒲田行進曲」を食指を動かすのがヅカファンだけと認定していいものでしょうか(よくない)。

ドラマシティ初日から戻ってすぐ行ったときは深作欣二監督コーナーで「貸し出し待ち」だったのに。
レンタルじゃなくちゃんと販売品を買うべきでしょうか。
娯楽映画としては最高、ふと思い出したときに見直したくなる名作です。

で、なぜ「青年館銀ちゃん」後にまた映画を見たくなったかというと、
正真正銘本物の階段に会いたくなったからだ。
映画版を見たあとでヅカ版を見るとその怖さの小ささに戸惑いを覚える。
どう見ても「プロのスタントマンが逃げ帰る」スケールはない。

あの「お化けみたいな階段」のインパクトがあるからこそ、
蒲田行進曲は成り立つのであって、舞台版は視覚的にごまかしが効かない。
もっと抽象的なセットを組むならいざ知らず、ヅカ版は平坦な昭和の映画撮影所を組んだのだから階段もごまかしようがない比率で目に飛び込んでくる。

「お化け階段」をどう描くかはこの作品の舞台化上、真っ先にクリアしなければならない点のひとつだったはずだ。

「センセイ、どうするんですか!」
企画の段階でさあや女秘書が石田昌也に詰め寄る。
「やっぱ外せないか」
「当たり前です!」
「そのまんま組むわけには行かないからね」
「あったりまえです。本社の許可が下りるはずがございませんッ!」
「もうちょっと考えるよー(そそくさと席を外そうとする石田)」
「企画の締め切りは明日ですよ、センセ。どこ行くんですかっ(追いかけるさあや秘書)」

……妄想につきこれにて終了。
でも石田先生とさあや秘書って妙に似合いますね。


そんなやり取りがあったかどうかは知りませんが、
石田演出はこの難所を監督役者の演技力で乗り切るという正攻法?に出ました。
いやー、座付き作者の英断って気持ちいいですね。
初演のるんぱさんといい、再演まりんさんといい「あとは任せた」手法を臆することなく引き受けやってのける実力者がその組にいた幸せ。


「こいつにやらせたら間違いない」
という絶対の自信があるからこそできた英断はどちらも見事成功を収めています。

というわけで、監督まりんさんは見事「お化け階段」をその演技で創り上げてくれました。
あっぱれ!

~以下続く





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